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「総額表示」の義務付け

【平成30年4月1日現在法令等】

 

1.「総額表示」の意義

  「総額表示」とは、消費者に商品の販売やサービスの提供を行う課税事業者が、値札やチラシなどにおいて、あらかじめその取引価格を表示する際に、消費税額(地方消費税額を含みます。)を含めた価格を表示することをいいます。

 

2.対象となる取引

  消費者に対して、商品の販売、役務の提供などを行う場合、いわゆる小売段階の価格表示をするときには総額表示が義務付けられます。

  事業者間での取引は総額表示義務の対象とはなりません。

 

3.具体的な表示例

  例えば、次に掲げるような表示が「総額表示」に該当します。

   10,800円

   10,800円(税込)

   10,800円(税抜価格10,000円)

   10,800円(うち消費税額等800円)

   10,800円(税抜価格10,000円、消費税額等800円)

   【ポイント】

   支払総額である「10,800円」とさえ表示されていればよく、「消費税額等」や「税抜き価格」が表示されていても構いません。

   例えば、「10,000円(税込10,800円)」とされた表示も、消費税額を含んだ価格が明瞭に表示されていれば、「総額表示」に該当します。

   なお、総額表示に伴い税込価格の設定を行う場合において、1円未満の端数が生じるときには、その端数を四捨五入、切捨て又は切上げのいずれかの方法により処理しても差し支えありません。

 

4.対象となる表示媒体

 

  対象となる価格表示は、商品本体による表示(商品に添付又は貼付される値札等)、店頭における表示、チラシ広告、新聞・テレビによる広告など、消費者に対して行われる価格表示であれば、それがどのような表示媒体により行われるものであるかを問わず、総額表示が義務付けられます。

  なお、口頭による価格の提示は、これに含まれません。

 

 

5.価格表示を行っていない場合

 

  総額表示が義務付けられるのは、あらかじめ取引価格を表示している場合であり、価格表示がされていない場合にまで価格表示を強制するものではありません。

 

6.総額表示義務の特例

 

  「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(消費税転嫁対策特別措置法・平成25年10月1日施行)第10条で、二度にわたる消費税率の引き上げに際し、消費税の円滑kかつ適正な転嫁の確保及び事業者による値札の貼り替え等の事務負担に配慮する観点から、総額表示義務の特例として、平成25年10月1日から平成33年(2021年)3月31日までの間(注)、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」を講じていれば税込価格を表示することを要しないこととされています。

  これにより、総額表示義務の対象となる表示であっても、誤認防止措置を講じていれば、税抜価格のみの表示などを行うことができます。

  なお、総額表示を要しないこととされている場合(税込価格を表示しない場合)であっても、総額表示に対応することが可能である事業者には、消費者の利便性に配慮する観点から、自らの事務負担等も考慮しつつ、できるだけ速やかに、総額表示に対応するよう努めていただくこととなります。また、消費税の総額表示義務は、「消費税相当額を含む支払総額」が一目で分かるようにするためのものであり、例えば、適切に表示された税込価格と併せて、税抜価格を表示するという対応も可能です。

(注) 平成28年11月の税制改正により、消費税転嫁対策特別措置法の適用期限は、平成30年9月30日から平成33年(2021年)3月31日に延長されました。

誤認防止措置の具体例

 総額表示義務の特例措置の適用を受けるために必要となる誤認防止措置としての表示は、消費者が商品等を選択する際に、明瞭に認識できる方法で行う必要があります。

例1
 値札、チラシ、ポスター、商品カタログ、インターネットのウェブページ等において、商品等の価格を次のように表示する。

誤認防止措置の具体例 例1 イメージ

 

例2

 個々の値札等においては「○○円」と税抜価格のみを表示し、別途、店内の消費者が商品等を選択する際に目に付きやすい場所に、明瞭に、「当店の価格は全て税抜価格となっています。」といった掲示を行う。

 

(消法63、平15改正法附則1、平16.2課消1-8、平26.3課消1-5外) 国税庁タックスアンサーより