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海外転勤中に株式を譲渡した場合

  【平成30年4月1日現在法令等】

 給与所得者が1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、一般的には日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者となります。
 非居住者の場合、日本で課税を受けるのは国内源泉所得のみとされています。
 また、非居住者に対する課税は、日本国内に恒久的施設を有するか否かでその方法が異なります。
 給与所得者が海外出向中であれば、一般的には恒久的施設を有しない非居住者に該当します。
 恒久的施設を有しない非居住者が株式等を譲渡した場合、次の(1)から(6)のいずれかに該当する所得が申告対象の国内源泉所得として課税対象となります。このうち、(1)から(5)に該当するものについては、「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」と「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」に区分し、他の所得の金額と区分して税金を計算する申告分離課税となり、(6)に該当するものについては総合課税の対象となります。なお、これらに該当する場合は確定申告が必要です。

(1) 買集めによる株式等の譲渡
 同一銘柄の内国法人の株式等の買集めをし、その所有者である地位を利用して、その株式等をその内国法人若しくはその特殊関係者に対し、又はこれらの者若しくはその依頼する者のあっせんにより譲渡をすることによる所得

  (注) 「株式等の買集め」とは、金融商品取引所又は認可金融商品取引業協会がその会員に対し特定の銘柄の株式につき価格の変動その他売買状況等に異常な動きをもたらす基因となると認められる相当数の株式の買集めがあり、又はその疑いがあるものとしてその売買内容等につき報告又は資料の提出を求めた場合における買集めその他これに類する買集めをいいます。

(2) 事業譲渡類似の株式等の譲渡
 内国法人の特殊関係株主等である非居住者が行うその内国法人の一定の株式等の譲渡による所得

 (注) 「一定の株式等の譲渡」とは、次のイ及びロに掲げる要件を満たす場合の非居住者のその譲渡の日の属する年(以下「譲渡年」といいます。)における次のロの株式又は出資の譲渡をいいます。

 イ 譲渡年以前3年以内のいずれかの時において、その内国法人の特殊関係株主等がその内国法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の25%以上に相当する数又は金額の株式又は出資を所有していたこと。

 ロ 譲渡年において、その非居住者を含むその内国法人の特殊関係株主等が最初にその内国法人の株式又は出資の譲渡をする直前のその内国法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の5%以上に相当する数又は金額の株式又は出資の譲渡をしたこと。

(3) 税制適格ストックオプションの権利行使により取得した特定株式等の譲渡による所得

(4) 不動産関連法人の一定の株式の譲渡による所得

  (注) 「一定の株式の譲渡」とは、次のイ又はロに掲げる株式又は出資の譲渡をいいます。

  イ その譲渡の日の属する年の前年の12月31日において、その株式又は出資(上場株式等に限ります。)に係る不動産関連法人の特殊関係株主等がその不動産関連法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の5%を超える数又は金額の株式又は出資を有し、かつ、その株式又は出資の譲渡をした者がその特殊関係株主等である場合のその譲渡

  ロ その譲渡の日の属する年の前年の12月31日において、その株式又は出資(上場株式等を除きます。)に係る不動産関連法人の特殊関係株主等がその不動産関連法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の2を超える数又は金額の株式又は出資を有し、かつ、その株式又は出資の譲渡をした者がその特殊関係株主等である場合のその譲渡

(5) 日本に滞在する間に行う内国法人の株式等の譲渡による所得

(6) 日本国内にあるゴルフ場の株式形態のゴルフ会員権の譲渡による所得

 なお、これらに該当する場合であっても、租税条約により日本で課税されないことがあります。
 ただし、平成27年度税制改正により、国外転出時課税制度が創設され、平成27年7月1日以後に国外転出(国内に住所及び居所を有しないこととなることをいいます。)をする一定の居住者が1億円以上の対象資産を所有等している場合には、その対象資産の含み益に所得税及び復興特別所得税が課税されることになっています。

 

(所法2、5、7、161、164、165、所令15、280、281、措法29の2、37の10、37の11、37の12、措令19の3)

国税庁タックスアンサーより

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