年末調整 昨年から変わった点 ④
ひとり親控除及び寡婦(寡夫)控除に関する改正
(1) 未婚のひとり親に対する税制上の措置
所得者がひとり親(現に婚姻をしていない人又は配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、次に掲げる要件を満たすものをいいます。)である場合には、ひとり親控除として、その人のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から35万円をこうじょすることとされました。
イ. その人と生計を一にする子(注1)であること。
ロ. 合計所得金額が500万円以下であること。
ハ. その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人(注2)がいないこと。
(注) 1.その人と生計を一にする子とは、他の人の同一生計配偶者又は扶養親族とされている人以外で、その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が48万円以下の子をいいます。
2. その人と事実条婚姻関係と同様の事情にあると認められる人とは、次の人をいいます。
a. その人が住民票に世帯主と記載されている人である場合には、その人と同一の世帯に属する人の住民票に世帯主との続柄が世帯主の未届の夫又は未届の妻である旨その他の世帯主と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる続柄である旨の記載がされた人
b. その人が住民票に世帯主と記載されている人でない場合には、その人の住民票に世帯主との続柄が世帯主の未届の夫又は未届の妻である旨その他の世帯主と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる続柄である旨の記載がされているときのその世帯主
(2) 寡婦(寡夫)控除の見直し
寡婦の要件について、次の見直しを行ったうえで、寡婦(寡夫)控除をひとり親に該当しない寡婦に係る寡婦控除に改組されました。
イ. 扶養親族を有する寡婦について、上記(1)ロ.の要件が追加されました。
ロ. 上記(1)ハの要件が追加されました。
また、「特別の寡婦」に該当する場合の寡婦控除の特例が廃止されました。
(3) 令和2年分の年末調整の際の申告
上記(1)及び(2)の改正は、令和2年分の年末調整から適用され、この改正による改正前後の控除に係る適用判定のフロー図は次の通りです。
フロー図において、[改正後]の「年末調整時の申告」欄が「必要」となっている人は、令和2年分の年末調整の際にその異動内容について申告をする必要がありますので、令和2年の最後に給与の支払を受ける日の前日までに、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を、給与の支払者に提出してください。
【改正前後の控除に係る適用判定のフロー図】
〔改正前〕〔改正後〕
(注) 改正前の「寡婦(特別の寡婦を除く)」に該当する方が、上記適用判定の結果、「寡婦」に該当する場合において、その人と生計を一にする子を有するときは、「ひとり親」(控除額:35万円)に該当し、年末調整の際にその異動内容について申告する必要があります。
なお、改正前の「未婚のひとり親(寡婦(夫)、特別の寡婦に該当しない人)」に該当する人が、適用判定の結果、「ひとり親」に該当する場合の申告については、以下の記載例を参考に、「寡婦」、「寡夫」又は「特別の寡婦」欄を「ひとり親」に訂正するなど、適宜の方法により申告してください(給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の「左記の内容」欄を記載する必要はありません。)。
〔記載例〕扶養控除等(異動)申告書(ひとり親に該当する場合)
(令和2年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書)
(月々の源泉徴収時)当初申告(年末調整時)異動申告
(4) 令和2年分の源泉徴収簿の記載
ひとり親に該当する旨の申告があった場合等には、以下の記載例を参考に、「扶養控除等の申告」欄やその欄外の余白などに「ひとり親」と記載します。
(注) 改正前の「寡夫」又は「特別の寡婦」に該当する人が、上記適用判定の結果、「ひとり親」に該当する場合、令和2年分の年末調整では、「ひとり親」に該当する旨を申告する必要はありませんが「ひとり親控除」が適用されますので、源泉徴収簿の訂正漏れにより年末調整に誤りが生じることのないよう、ご注意ください。
〔記載例〕源泉徴収簿(ひとり親に該当する場合)
国税庁ホームページより