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居住用財産の買換えの特例を受けて買い換えた資産の取得価格とされる金額の計算

【平成31年4月1日現在法令等】

  居住用財産の買換えの特例を受けた場合には、譲渡した居住用財産(旧居住用財産)の譲渡益に対する課税が将来に繰り延べられることとなります。(譲渡益が非課税となるわけではありません。)

  このため、買い換えた居住用財産に、譲渡した居住用財産の取得価格が引き継がれることとなっています。この買い換えた居住用財産を、詳細、譲渡した場合における譲渡所得の計算上の所得価格は、その買い換えた居住用財産の実際の購入価格ではなく、譲渡した旧居住用財産から引き継がれた取得価格となります。

  この取得価格の引継ぎについて具体的な事例で説明します。

 

(例1) 居住用財産の売却額と買い換えた居住用財産の購入額が同じ場合

  売却額 : 5,000万円

  譲渡費用 : 100万円

  売却した居住用財産の取得価格 : 3,000万円 (土地及び減価償却後の建物価格の合計)

  買い換えた居住用財産の購入額 : 5,000万円 (土地3,500万円、建物1,500万円)

  引き継ぐ取得価格の計算 : 3,000万円 + 100万円 = 3,100万円

  引き継ぐ取得価格の土地と建物への配分の計算

(土地)

  3,100万円 × 3,500万円 / 5,000万円 = 2,170万円

(建物)

  3,100万円 × 1,500万円 / 5,000万円 = 930万円

※したがって、将来、買い換えた居住用財産を売却した場合の取得価格は、実際の購入額ではなく、上記のとおり、土地については2,170万円、建物については930万円から売却時までの償却費相当額を控除した後の価格となります。

 

(例2) 居住用財産の売却額よりも買い換えた居住用財産の購入額の方が多額の場合

  売却額 : 5,000万円

  譲渡費用 : 100万円

  売却した居住用財産の取得価格 : 3,000万円 (土地及び減価償却後の建物価格の合計)

  買い換えた居住用財産の購入額 : 6,000万円 (土地 4,200万円、建物1,800万円)

  引き継ぐ取得価格額の計算 : (3,000万円 + 100万円) + (6,000万円 - 5,000万円) = 4,100万円

  引き継ぐ取得価格額の土地と建物への配分の計算

(土地)

  4,100万円 × 4,200万円 / 6,000万円 = 2,870万円

(建物)

  4,100万円 × 1,800万円 / 6,000万円 = 1,230万円

 

※したがって、将来、買い換えた居住用財産を売却した場合の取得価格額は、実際の購入額ではなく、上記のとおり、土地については2,870万円、建物については1,230万円から売却時までの償却費相当額を控除した後の価格となります。

 

(例3) 居住用財産の売却額よりも買い換えた居住用財産の購入額の方が少額の場合

  売却額 : 5,000万円

  譲渡費用 : 100万円

  売却した居住用財産の取得価格 : 3,000万円 (土地及び減価償却後の建物価格の合計)

  買い換えた居住用財産の購入額 : 4,000万円 (土地2,500万円、建物 1,500万円)

  引き継ぐ取得価格の計算 : (3,000万円 + 100万円) × 4,000万円 /5,000万円 = 2,480万円

  引き継ぐ取得各の土地と建物への配分の計算

(土地)

  2,480万円 × 2,500万円 / 4,000万円 = 1,550万円

(建物)

  2,480万円 × 1,500万円 / 4,000万円 = 930万円

※ したがって、将来、買い換えた居住用財産を売却した場合の取得価格は、実際の購入額ではなく、上記のとおり、土地については1,550万円、建物については930万円から売却時までの償却相当額を控除した後の価格となります。

 

(措法36の2、36の4、措令24の3) 国税庁タックスアンサーより

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