コラム
個人事業主が作成する帳簿書類等の保存期間
【相談】
私は個人事業(従業員雇用あり)を営んでいます。開業時から継続して青色申告を行っていますが、帳簿書類が相当な量となっており、できれば廃棄したいと考えています。そこで、個人事業について、税務上の帳簿書類の保存期間を教えてください。
【回答】
所得税法上、青色申告者は帳簿書類等を下記の期間保存すべきこととされていますので、ご相談の帳簿書類のうち保存期間が経過したものについては、所得税法上の保存義務はないこととなります。
また、青色申告者は、原則として正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により基調を行わなければなりませんが、簡易帳簿で記帳してもよいことになっています。標準的な簡易帳簿の種類は次のとおりです。
- 現金出納帳
- 売掛帳
- 買掛帳
- 経費帳
- 固定資産台帳
なお、納税者の事務負担やコスト負担の軽減などを図るため、一定の帳簿書類については、コンピュータ作成の帳簿書類を紙に出力することなく、ハードディスクなどに記録した電子データのままで保存できる制度があります。
ただし、この制度の適用を受けるには、一定の要件があり、あらかじめ所轄税務署長の承認を受ける必要があります。
また、相談者は従業員を雇用されているとこのとですので、原則的に所得税の源泉徴収義務者に該当します。
この場合、従業員から扶養控除等申告書等の提出を受けられていると思いますが、その申告書等は、その申告書の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存しなければなりません(税務署長から提出を求められた場合には、提出する必要があります。)。
ご参考までに、源泉徴収義務者が保存しなければならない申告書を記載いたします。
- 給与所得者の扶養控除等申告
- 従たる給与についての扶養控除等申告書
- 給与所得者の配偶者特別控除申告書
- 給与所得者の保険料控除等申告
- 退職所得の受給に関する申告書
- 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
以上の通り、帳簿書類・申告書等の保存期間は非常に細かく定められていますので、帳簿書類等を廃棄される場合には、事前に必ず当事務所にご相談ください。
【根拠法令等】
【根拠法令等】
所法148、149、所規56~65、所規76の3、77、77の3、措規18の23など