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減価償却のあらまし

【平成31年4月1日現在法令等】

 

1. 減価償却の概要 

 

  事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産と言います。他方、土地や骨とう品などのように時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却資産ではありません。

  減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものです。この使用可能期間に当たるものとして法定耐用年数が財務省の別表に定められています。減価償却とは、減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続です。

 

(注)

 1. 使用可能期間が1年未満のもの又は取得価格が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします。

 2. 取得価格が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下でその減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価格の合計額の3分の1に相当する金額をその業務の用に供した年以後3年間の各年分において必要経費に算入することができます。

 3. 一定の要件を満たす青色申告者が、平成18年4月1日から令和2年3月31日までに取得した取得価格10万円以上30万円未満の減価償却資産(上記(注2)の適用を受けるものを除きます。)については、一定の要件の下でその取得価格の合計額のうち300万円にたっするまでの取得価格の合計額をその業務の用に供した年分の必要経費に算入できるという特例があります。

 4. 取得価格の判定に際し、消費税の額を含めるか同課は納税者の経理方式によります。すなわち、税込経理であれば消費税を含んだ金額で、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定します。なお、免税事業者の経理方式は税込経理になります。

 

 

2. 減価償却 

 

  平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産(以下「旧減価償却資産」といいます。)については、「旧定額法」や「旧定率法」などの償却方法で、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産については、「定額法」や「定率法」などの償却方法で減価償却を行います。さらに、平成10年4月1日以後に取得した建物の償却方法は、旧定額法又は定額法のみとなり、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備及び構築物の償却方法は定額法となります。

  なお、上記の取得には、購入や自己の建設によるもののほか、相続、遺贈又は贈与によるものも含まれます。

  前記の償却方法は、減価償却資産の種類ごとに選定します。この場合、償却方法の選定の届出が必要です。例えば、新たに業務を始めた場合には、減価償却の方法を選定してその翌年の3月15日までに所轄の税務署長に届け出なければなりません。この届け出がない場合には、法定の償却方法で計算することになります。法定の償却方法は一般的には九定額法又は定額法です。

  なお、旧減価償却資産について「旧定額法」、「旧定率法」又は「旧生産高比例法」を選定している場合において、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産(以下「新減価償却資産」といいます)で、同日前に取得したならば旧減価償却資産と同一の区分に属するものについて前記の届出書を提出していないときは、旧減価償却資産につき選定していた償却方法の区分に応じた償却方法を選定したとみなされ、新減価償却資産について「定額法」、「定率法」又は「生産高比例法」を適用することになります。

  また、減価償却の方法を変更しようとするときは、その変更しようとする年の3月15日までに所轄の税務署長に申請書を提出してその承認を受ける必要があります。

 

(所法2、49、所令120、120の2、123~126、129、131、132、1344、138、139、所基通2-14、49-1、措法28の2、平元直所3-8、震災特例法10の2、10の2の3、10の5、11、11の2) 国税庁タックスアンサーより